ウドンタニ県はタイの東北部、バンコクから560Km、ラオス国境まで50Kmの場所に位置する。市内を一級国道である国道2号線が走り、空港は一応国際空港で(もっとも、国際線は飛んでいないが)バンコクやチェンマイとの定期航路が毎日数便就航している。また、バンコクからは特急列車(約10時間)や1日数十便の長距離バス(約9時間)も連絡している。
県都であるウドンタニ市はコラート、コンケンについでイサーン地方で3番目に大きな都市であり、商業施設、総合病院、市民公園など、都市に必要な機能は一通りそろっている。
また、ウドンタニ空港は軍用飛行場としての用途がメインであり、民間ターミナルは空港の片隅にちいさくまとまっている。どうも、軍用機の発進が優先されるようで、旅客機が滑走路のそばで待たされることも珍しくない。
ウドンタニ県の詳細についてはこちらを参照ください。
1級国道である国道2号線は当然だが、市内や周辺部を走る道路も広く、かなり整備されている。ベトナム戦争時代は米軍の一大基地群があり、北爆や救難活動の最前線基地として使用されたことから、米軍がかなりの資金を投下して整備したということだ。
また、その影響なのか市内には数多くの欧米人が暮らしており、また外国人に対する抵抗がほとんどないためか、タイ全県のなかで国際結婚率がトップという特徴を持つ。郊外には居住者の8割が国際結婚カップルというムーバーンもあるし、ちょっとしゃれた家を見かけると、娘が外国人と結婚しているという事も多い。
また、市内にはベトナム戦争時代のなごりを留める歓楽街やバービヤ群も残っており、昔、タイに駐留していたと思われる年寄りの欧米人で結構賑わっている。ただし、日系の企業とかはほとんどないので、街で観光客以外の日本人を見かけることはほとんどない。
市内の交通機関は決められた区間を走るソンテウが主力で、それにタクシーとして利用する動力サムローが加わる。昔ながらの人力サムローもときおり見かけるが、かなり数は減っているようだ。車夫も老人が多い。僕も一度人力サムローに乗った事があるが、やせた体で僕と嫁を乗せたサムローのペダルをこぐ姿に耐えられず、途中で降りてしまった記憶が残っている。後数年もすれば消えていく乗り物だと感じた。
市内には路線バスは走っていないが、市内と郊外は短距離の路線バスで結ばれている。
ウドンタニの路線バスは、1家族が1台のバスを所有し、全員が組合に所属して、決められた路線を走る。うちの家族もそのバスの営業をしている。路線はウドンタニ中心部から国道2号線をノンカイ方向に約30キロほどである。他の公共交通機関がまったくないので、郊外に住む住人にとっては貴重な足である。ノンエアコンだが、運賃はバンコクのそれよりも高めである。嫁の両親が健在なころは、父親が運転、長兄と母親が交代で車掌を務めていたが、両親、長兄が他界した今は、嫁の弟夫婦がそれを引き継いでいる。
バンコクに比べると、自家用車の普及はまだ遅れているが、なにをするにも徒歩では不便な土地なので、各家庭には大人ひとりに1台のバイクがあるのも珍しくない。うちにも僕用を含めて4台のバイクと自家用サムロー1台がある。バンコクと違い、運転免許などはほとんど無視である。中学生などは普通にバイクで通学している。
市街地は、国道2号線と垂直、東西方向に発展しているように見受けられるが、僕の家は国道2号線をノンカイ方向に20分ほど走った市外北方の郊外にある。国道2号線からちょっと脇道にそれると、昔のままの自然がのこっている。